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「ところで薫殿・・・、」
蛍が飛び交う川原で、一頻り抱き合った二人は、家路をゆっくりと歩いていた。
剣心の手には提灯と、そしてもう片方の手には薫の手を絡ませていた。
薫はその腕に寄り添い、月明かりに揺れる二人の影はピタリとくっついていた。
剣心が薫を見下ろしながら、穏やかに喋る。
「何故、あの場所にいたのでござるか?」
「え?あぁ、散歩に来ていたの。少し気分転換に散歩でもしようかと思って。そしたらあんなに沢山の蛍でしょ。見とれてしまって。」
にこりと微笑んだ薫に剣心も「そうでござったか」と微笑んだ。その笑顔に、ふと薫は思い出す。
(そういえば・・・・、)
「ねっ、ねぇ、剣心・・・」
「ん?」
突然、小さく吃る薫を、不思議そうに剣心は振り返る。
「あ・・・、あのね・・・・」
「どうした?」
ますます声を小さくする薫に、心配とばかりに剣心が歩いていた足を止めて薫の顔を覗き込んだ。
剣心の顔が近くなったからか、薫は剣心と目が合うと、すぐさま視線を逸らす。頬をぽっと染め、逸らした視線を泳がせる。
「あの、ね。その・・・、昨日、おしろいの匂いがしたの・・・。」
「おしろい・・・?」
「あ、うん。その・・・、剣心の着物から。」
そこまで聞いて、なるほど。と剣心の中で合点が行く。その合点と同時に、浮かんできた「幸福」の笑み。
「拙者が、薫以外の女子を好いているとでも・・・?」
その言葉に、薫は「えっ」と声を漏らしながら顔を上げた。どうして分かったの、とばかりのその顔に、剣心はますます笑みを深くする。
「昨日、今日と宴会で、酔い潰れた者を何人か見ていたのでござるが、その者達は芸者に酌をして貰っていたのでな。きっとその時のものが拙者に移ったのでござろう。」
そう言うと、にこりと薫を見つめ、今まで絡めていた指を離す。
あら?と薫が思うか否か、すぐさまその手は薫の腰に回される。
驚いた薫はばっと、剣心を見上げる。
が、その途端、自分の唇に何かが触れる。それが彼の唇だと分かるまでに数秒を要した。
ちゅっと音をたてて離れていった彼のそれを、薫はぼーっと見つめる。突然のできごとに、思考が追いついていない。
「さぁ、帰ろう。久しぶりに、今日は一緒に床に付けるでござるな。3人で。な?」
そう笑いながら、剣心は提灯を持った手で、薫の腹に触れた。
薫は頬を染めながらも、自分の腹を撫でるその手を見て、穏やかに微笑んだ。
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あとがき。
もしかしてっもしかしなくてもっ「いつまでも味方だよ」の続編になります(笑)
題名は大好きなB’zの曲から。