[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「手伝うわ、剣心」
後ろから聞こえてきた声に、包丁を持っていた手を止め振り返ると、いつものように藍色のリボンを揺らす彼女が立っていた。
「ごめんね~任せっきりで」などと呟きながら自分の隣まで来た彼女に、「いいでござるよ」と返す。
縁との戦いが終わり、それぞれの仲間も自分の道へと旅立ち、穏やかな日々が戻ってきた。
『お邪魔虫は引っ越すぜ』と軽口を言いながら一番弟子がこの神谷道場を後にし、長屋に移ったのはつい先日の事。
「弥彦は食べてから来るのでござるか?」
「ええ。弥彦の分はいいからね。」
午後から出稽古だという薫と弥彦。その二人の為に早めにと昼飯を作っていたのだが、どうやら弥彦は食べてから薫を迎えに来るらしい。
差し当たり‘赤べこ’あたりで食べて来るのでは・・・。
そんな事を考えながら今方切った葱を鍋の味噌汁へと入れる。
ふいに、
「包丁洗っておくわね」
と言った彼女の指と、ちょうど同じ考えで動いた自分の指とが包丁を挟んで触れ合った。
「あっ・・・」
薫がすかさず手を引っ込める。頬をほんのり染めて「ごめんなさい・・・」と小さく呟きながら。
そんな薫に剣心は「いや、拙者こそすまぬ・・・」と同じく小さく呟きながらいつもの笑みを浮かべた。
普段、手を繋いだり、軽く抱擁することはあっても、それは全て剣心からで、相手の薫は身体を硬直させてしまう。その顔は今のこの反応と同じ、頬を真っ赤に染めて。
そんな訳で、剣心も、こうも薫にガチガチになられては・・・。これ以上を望むと彼女が壊れてしまいそうで、なかなかその先へ進めず・・・。
けれど・・・
けれどどこかで、
その初々しい反応を、可愛いなぁ。愛しいなぁ。などと楽しんでいる自分がいたりするのも事実だったりして。
「ふふ・・・・っ」
さっきまで真っ赤になっていた彼女が、今度は肩を震わせて笑いだした。先ほど自分と触れ合った手を今度は口元に当てていた。
「薫殿・・・・?」
何だろう・・・自分が何か笑わせることをしたのかと剣心が首を傾けた。
「ふふ。ううん。なんだかおかしくなっちゃって・・・。」
照れた表情は先ほどと変わらないものの、微笑む彼女。
「私が洗っておくわね。」
笑いながら 今度こそ、と彼女が包丁を手に取った。
なんだか・・・
なんだか、面白くない。
彼女の手元を遠い目線で眺めつつ、このままではもったいないという悪戯心がジワリジワリ。
「薫殿」
言うか否か、
「ん?なぁ・・・に・・・」
彼女の頬にふわりと口付け。
「‘お返しに’でござる」
薫の顔はもちろん、そう言う当の本人も、真っ赤だったのは言うまでもなく。
_________________
あとがき。
あっっっついあっつい恥ずかしすぎてあっつい(笑)
もっ・・・・こんなっ・・・初剣薫小説でなんたる文章
いろんな意味で 「てはじめに」 です。(笑)
これからいろいろ学びながら、いろいろ妄想しつつ想像力養いつつ(笑)試行錯誤しつつ学びつつ・・・・・・。
っ・・・・がんばろっ(笑)