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夢をみた。
淡い桃色の景色。
ああ、もうすぐ・・・・
もうすぐ。
柔らかい日差しに思わず目を細めた。
-ここは・・・・-
見慣れた一本道。どこからか水の流れる音がする。川だ。すぐにここが、神谷道場の近くだと認識する。
ふと、目の前を小さな紙切れのような物がひらひら落ちてきた。それは桃色の・・・・
-桜・・・でござるな-
「剣心!」
名前を呼ばれてふと顔を上げると、前方に大きな桜の木があった。よく見ると、その桜の木の下で、同じ桜色の着物に身を包んだ女が立っている。
すぐにそれが誰だか理解できた。
「こっちこっち」
長い藍色の髪を揺らして、こちらに手を振っている。
「薫殿」
そう呼びながら、剣心は薫のもとへとゆっくり近づく。
「立派な桜の木でござるな」
そう言いながら、彼女に自分の手を差し出した。
ふふ。と微笑んで、その手を薫が握ってくれた。
満開の桜が風になびくたび、ひらひらと花びらが舞い落ちる。
風の音、花びら、枝の隙間からのぞく柔らかい日差し。
こんなに心穏やかでいられるのは、この景色があるから、だけではない。
隣に彼女が、薫がいてくれるから。
「来年は、三人で来られるかな・・・」
-え・・・-
その言葉にふと薫を振り返った途端、風の音が一層強くなった。
気がつくと、天井が見える。いくつか染みが見える。見覚えのある位置。
-夢・・・でござったか・・・-
何度か瞬きしながら、障子からうっすら差し込む光に朝だと気がつく。
自分のすぐ側から穏やかな寝息が聞こえる。
「かおるどの・・・」
無意識に囁いた言葉に、当の本人からの返事は無く。
薫の左手は、自分の右手と握られたままで、剣心はもう一度それを握りかえす。そして、空いたほうのもう片方の手を彼女の腹へと伸ばした。
そっと、そっと触れる。温かい彼女の体温がその手を通して伝わってくる。
『子どもができたの・・・』と彼女から告げられたのはつい先日の事。三ヶ月だという彼女のお腹は、まだ膨らんではなく、本当に子どもができたなどと、未だに実感がわかない。
「“来年は三人で・・・”でござるな」
剣心はそっと囁いて、薫の身体を抱きしめた。
もうすぐ・・・・。
もうすぐ・・・・・。
______
あとがき。
なんのこっちゃない(笑)
二人で1つのお布団に~ってのを題材にしたかったのですが・・・
これはもう一回やりたいね・・・(え)(笑)
全然話の筋合いがダメですが、ここまで読んでいただけた方、(いらっしゃったら!!笑)ありがとうございました